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公立病院と私立病院

スペインの病院は大別して公立病院と私立病院に分けられます。どちらでも医療サービスの質には変わりありませんが、公立病院の方が対象とする患者の数が多いため、検査や手術などの実施までにしばらく待たされるケースがあります。

公 立病院の医療費は現地の国民健康保険組合(Seguridad Social)が払い、私立病院でかかる医療費は私立医療保険会社(カタルーニャではMutuaと呼ばれます)が支払うシステムになっています。私立医療 保険会社に加盟していない方が私立病院にかかった場合の医療費は自己負担になります。

公立病院 (Público)

国民健康保険は、スペイン以外の国の機関に勤める公務員と旅行者以外の殆ど全ての住民が義務として加盟している筈ですので、勤務先から受領できる保険証 (TSI カード)さえあれば公立病院の医療を無料で受けることができます。外来、治療、入院、手術、分娩、検査、どの分野に於いても費用を徴収されることはまず ありません。

ただし公立の病院はホームドクター制が徹底していますので、医師にかかる場合は総合病院や専門医へ直行することはできず、まず地域の公立診療 所(CAP)の担当医に予約を入れ、訪問して治療を受けるか、その担当医に紹介された専門医にかかることになります。

小児科も同じ要領です。子供の予防接 種は、接種が義務付けられているワクチンに関してCAPでは全て無料です。公立病院にある緊急外来センターは、年中無休で24時間受付しています。

【La Meva Salut 公立病院アカウント】

公立病院で実施されるワクチン実績、診断書、検査結果、などといった証明類は、衛生省が提供している個人アカウント、La Meva Salut に個人的にアカウントを開設すると、このアカウント内に発行されたものをダウンロードます。

https://web.gencat.cat/en/tramits/que-cal-fer-si/catsalut-la-meva-salut/index.html

​【誰がアカウントを作れるのか】

ただし、アカウントを作成するには、衛生省が発行する健康保険カード(TSI)を入手することが必須となりますので、このカード取得手続きも必要となります。健康保険カード(TSI)は通常、住民届を完了していればカタルーニャ州の公立医療保険(Seguridad Social)に加盟することで入手でき、これがあれば公立病院であらゆる医療サービスを無料で受けることができるようになります。

https://catsalut.gencat.cat/ca/coneix-catsalut/acces-sistema-salut/la-tsi/

(https://salutpublica.gencat.cat/ca/ambits/ )

 

​【お住まいの管轄CAPを探す】

この健康保険カード(TSI)の申請をするには、まずスペインの滞在許可証(TIE)を持参してお住まいの地区を管轄する公立病院診療所 CAP に行って申し込みます。お住まいの地区の管轄CAPを探すにはこちらから検索できます。

https://catsalut.gencat.cat/ca/centres-sanitaris/quin-cap-correspon-a-una-adreca/

私立病院 (Privado)

私立病院や私立の開業医は、基本的にこれらの医師と契約がある私立医療保険会社(Mutua)に加 盟している患者を対象にしています。もちろん加盟していない患者も同じか、より良質なサービスを受けることができますが、医療費や検査料、入院費などはすべて自己負担になります。

私立病院 でもホームドクター制はありますが、公立と違ってホームドクターを通さなくても専門医を直接予約することが可能です。また、検査結果も全て患者に返還され ますので、途中で医師を変更することをお客様が希望する場合でも、全ての検査結果を持ってセカンドオピニオンに向かえば再検査は必要とされません。

なお子供の予防接種に関しては、州政府によって義務づけられているワクチンでも接種のオペレーション代だけは実費で支払うケースが多いです(約25€)。

 

スペインの私立病院にも、小さな開業診療所から大きな病院まで規模は様々ですが、かなりの割合で『大きな病院』=『個人開業医を集めた集合病院』であることが多いです。つまり、『A病院』という組織が大きな建物を建立し、その中に開業したい医師を招致して総合病院のような組織をつくるシステムです。そのためひとつの病院の中に何軒もの整形外科や内科など専門クリニックがあり、それぞれに独立した名称と会計システムを持ち、お互い協力したり競合したりしています。

 

こうしたシステムのため、大きな私立病院の医師に指示された検査を、必ずしも同じ病院でしなければならない義務はありません。検査のみご自宅近くの別の検査機関で実施して結果をご担当医にお持ちになれば十分という流れになります。

 

私立病院も急患受付は年中無休、24時間受け付けられます。

【公立病院と私立病院をどのように使使い分けるか】

地元の市民がこのテーマについて話すとき、一般的には「持病や難病は公立病院、他は私立病院」という概念です。

公立病院は大学研究機関でもあるため難病への取り組みをしており、著名な研究者との連絡も密にとられています。また、持病を持ち、長年にわたってお薬を飲み続ける必要がある方には、1年に1度、デジタル処方箋が薬局に送られ、処方箋用紙がなくても患者は薬局に公立保険カードを持っていくだけで、割引価格(市販の半額)でお薬が買えるしくみになっています。私立病院からはデジタル処方箋は発行できず、また私立病院が発行する処方箋では薬価の割引も不可能です。ワクチン接種も公立病院が主導権を持っています。

ただし公立病院は患者数が多いため、特に大都市では待合が長く、緊急外来で4-5時間、命の危険が遠い手術は1年から数年待ち、患者が医師を選択することができないなど、いろいろ不都合もあります。こうした長い待合や、ご希望の医師にかかりたい場合は私立病院を選択するとスムーズに進捗しますので、状況に応じて私立病院を選択する方が多いです。

医療通訳 日本語⇔スペイン語 / Intérprete Español-Japonés: especialidad en medicina

バルセロナ 医療通訳 下山由紀子​
TEL: +34-600-70-2828

電話対応時間   8:00 - 21:00 (緊急な場合のみ深夜も受け付けています)
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© 2014- Medical Interpreter  医療通訳 下山由紀子

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